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事務所コラム

実況見分調書を、読む

2019.11.02

吉川 正也

交通事故の民事裁判において、実況見分調書が証拠に出されることがある。

警察が交通事故の発生状況を図面化しているもので、民事事件で、大切な証拠になる。

 

実況見分は、事故後、警察において、当事者を立ち会わせて、現場で行われる。そのうえで、事故現場の状況や、加害車両及び被害車両の動きを調書化され、図面表示もされる。多くの事例では、その実況見分調書を見ることによって、事故の状況が知ることができる。

 

しかし、実況見分調書を見るだけでは、事故発生状況が良くわからない事故もある。そんなときには実況見分調書を、見るのではなく、読むことが必要になる。

 

たとえば、当事者の甲が亡くなっているとき、実況見分調書は、相手方乙側だけで作成される。事故が、甲の過失によって生じたのか、乙の過失によって生じたものなのか。事故発生状況は、民事事件では、過失割合として、賠償額に影響してくる。

 

当事者の甲が亡くなっていて、相手方当事者乙は、追突されたとの主張がされている。このままでは、亡くなった方の遺族は、全く相手から、賠償を得られない。

甲が追突したのであれば、甲の過失が100%で、事故を起こしたことになるからだ。

 

追突されたとする運転手乙の主張だけで、事故発生状況を決めることはできない。乙の車に追突したようにみえても、甲及び乙の状況を考える必要がある。実際の事故発生状況によって、過失割合を定め適切な賠償が行われることが大切だからである。

 

一方の当事者甲が亡くなって、声をあげられない。この場合、加害者と被害者を万が一でもとり間違えないように、甲及び乙の実況見分調書や目撃者の実況見分調書など、あらゆる情報を総合して、実況見分調書を読み込むことが必要と考える。

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